接触冷感の寝具は夏におすすめできない?

接触冷感イメージ
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接触冷感の効果は持続しない

夏は夜間であっても気温も温度も高いため、寝苦しくて寝不足になることがあります。

エアコンをがんがんに付けて寝る人も多いと思いますが、ついつい体を冷やし過ぎてしまうこともあるでしょう。

 

そこで寝具がひんやりしていれば夏の寝苦しさも軽減するということで開発されたのが、接触冷感の寝具です。

接触冷感の寝具は敷きパッドを中心に色んな商品がありますが、肌に触れているとひんやりして気持ちが良いです。

 

ただ接触冷感というぐらいですから、触れた瞬間は冷たくて気持ちが良いものの、ずっと肌に触れていると暖かくなります。

つまりひんやりとして気持ちが良いのは最初だけで、それ以降は普通の素材と変わらないことになってしまいます。

 

しかし接触冷感のメリットはもう一つあり、寝返りをするなど体勢を変えたときにまたひんやり感を味わえることです。

そうすると皮膚表面の温度は低下し、寝具内の温度も下がりますので、寝苦しさが和らぎます。

接触冷感の生地は何故冷たいの?

さて、そもそも接触冷感の生地を冷たく感じるのは何故でしょうか。

触れた瞬間に冷たいと感じる生地は色々ありますが、共通しているのは熱伝導性が良いことです。

 

熱伝導が良いとはつまり、熱が移動しやすいことを意味し、熱は温度の低い方へ移動する習性があります。

鉄を触ると冷たく感じるのは熱伝導が高いためで、触れた瞬間に皮膚の熱が奪われて、ひんやり冷たく感じるのです。

 

また繊維の中に水分を多く含むシルクや硬くシャリ感のある麻も触ったときに冷たく感じる、接触冷感素材といえます。

なお、接触冷感素材として使われるのはレーヨン、キュプラ、ポリエステルなどの天然繊維から作られた化学繊維であることが多いです。

 

代表的な接触冷感の衣類であるユニクロのエアリズムも、主原料はポリエステルです。

接触冷感素材を寝具に応用した例としては、東洋紡のアイスマックスなどがあります。

 

アイスマックスは超高分子量のポリエチレン繊維「イザナス」を使った生地のことで、高強度、高弾性に優れたスーパー繊維で、熱伝導性と熱拡散性にも優れます。

素早く皮膚の熱を奪い、拡散させてくれるので、睡眠時の体温の上昇を抑えるのに役立ちます。

 

Q-maxとは

熱伝導性によって冷たいと感じるわけですが、どれだけ熱が移動するかをQ-maxと呼ばれる数値で表すことがあります。

Q-maxが0.3とか0.4という数値が載っているのを見たことがあると思いますが、この数値が高いほどひんやりすると考えられます。

 

Q-maxは0.2以上あると接触冷感効果があるといわれます。

tだ個人的主観にはなりますが、0.2ではそれほど冷たさを感じにくく、若干ひんやりするかなと感じられる程度です。

 

0.3以上でまあまあ冷たく感じ、0.4以上になると明確なひんやり感を感じられるようになります。

Q-maxが高いほど快適に眠れるわけではありませんが、一つの目安にはなります。

 

この数値はカケンやボーケンといった第三者検査機関に委託して測定されているため、ある程度信頼性はあります。

しかしその数値が糸で測定されているのか、生地で測定されているのかなどによって変わってくるので、同じ数値であれば同じように冷たさを体感できるとは限りません。

 

一般的な接触冷感敷きパッドはナイロンを使っているものが多いです。

ナイロンは確かに冷たくて、価格が安いのですが、吸湿性が弱く、蒸れやすいという欠点があります。

 

昨今接触冷感素材として人気があるのは、高分子量素材のポリエチレンです。

分子が真っ直ぐに配列しているため、熱伝導性が高く、接触冷感度も高いという特徴があり、ポリエチレンを使用しているとQ-maxが0.4を超えることが多いです。

 

天然繊維であれば麻がダントツにQ-maxも高く、0.3以上は期待できます。

加えて吸放湿性に優れているため、爽やかな寝心地があり、一般的な接触冷感寝具にはない魅力があります。

 

塩がおすすめ

接触冷感寝具の欠点は冷たさが持続しないという点ですが、この欠点を補ってくれるのが塩です。

塩は30度を境に結晶化したり、水溶化するのですが、この際に周囲の熱を奪ったり、発散させる性質を持っています。

 

塩は外気の温度、体温に反応して吸熱、放熱を繰り返し、温度を30度前後に保ってくれるため、寝具内の温度が変わりません。

この塩の特性を生かし、中材に塩を加えた寝具も製品化されており、冷たさが持続するため、寝苦しい夜も快眠できるというわけです。

 

接触冷感の寝具はどうしても時間とともに暖かくなってしまい、結局エアコンのお世話になってしまう人も少なくないでしょう。

しかし塩の力を使えばいつでも快適、エアコンで身体を冷やし過ぎる心配もなく、電気代も不要でエコです。

 

なお塩と同様、温度調整機能がある素材として、アウトラストやスイスシェラー社のPCMシートが注目されています。

肌の表面温度を32度前後に調節してくれるため、暑すぎず冷たすぎず心地よく、夏だけでなく一年中使えるというメリットがあります。

 

 

冷却ジェルマットは蒸れやすい?

楽天では塩を使った冷却ジェルマットが飛ぶように売れているみたいですね。

実際に使ってみても、寒すぎて風邪を引きそうでした。

 

 

塩を原料とした特殊冷却ジェルを使用しているため、ひんやり感が持続します。

暑がりな人など、とにかくひんやりしたい人にはおすすめですが、人によっては冷たすぎると感じるかもしれません。

 

ただ冷却ジェルマットは防水加工されていて、全く汗を吸わないため、蒸れるやすいのが欠点です。

その場合は上にタオルを敷くなどして、蒸れを防いだり、温度調節してあげると使いやすいです。

 

接触冷感寝具の選び方

接触冷感とはあくまで触れた瞬間にひんやり感を感じるものであるため、ずっと冷たいものとは考えない方が良いでしょう。

特に寝具は体にずっと触れているわけですから、衣類や小物といった冷感グッズと同じようにずっとひんやりしていて快適かどうかは別の話です。

 

肌と寝具がずっと触れていると温度差がなくなり、熱が移動しなくなるため、冷たいどころか暖かさすら感じてしまうかもしれません。

接触冷感素材としてよく使われるナイロンやポリエチレン、ポリエステル、ジェルなどはその素材自体に吸水性がないため、蒸れ感すら感じてしまうでしょう。

 

接触冷感寝具を選ぶときは下記のような点に注意すれば大失敗する可能性も低くなります。

 

  • 吸水性のある素材を使用しているか否か
  • 3Dメッシュ構造にするなどして通気性を確保しているか否か

 

吸水性のある素材とは例えば綿や麻、レーヨンなどが挙げられます。

また通気性の良い構造にすることで生地にたまった熱が効率よく放出されるので、熱移動が滞りにくくなります。

 

接触冷感寝具はそのまま使うより、エアコンを併用することでひんやり感も上がりますし、汗もかきにくくなります。

エアコンを使わないために接触冷感寝具を使うのではなく、快適な睡眠環境を作り出すために接触冷感寝具とエアコンを併用するのです。

 

エアコンはそこまで低い温度に設定する必要はありません。

温度を高めにしても、寝具に熱がこもらないように工夫すれば、接触冷感素材を使ったマットや枕パッドも本領を発揮してくれるでしょう。

 

なお接触冷感敷きパッドの上手な使い方はこちらもご覧ください。

 

蒸れにくい冷感敷きパッド

なお一口に接触冷感敷きパッドといっても使われている繊維もさまざまであり、機能性もぴんからきりまであります。

比較的価格が安いものも多いですが、あまりに安すぎるものはひんやり感もそれほどなく、熱がこもって蒸れるだけということもあります。

 

ひんやり感にこだわることも大切ですが、加えて蒸れにくい接触冷感敷きパッドは寝ていても快適さを感じやすいといえます。

通気性が良くなるようなメッシュ構造にしたり、綿やレーヨンといった吸湿性のある素材を使うことで蒸れ感を軽減しているわけです。

 

アイスマックスクール

アイスマックスクールは、接触冷感性の高い東洋紡の超高分子ポリエチレン繊維イザナス®を使った接触冷感敷きパッドです。

イザナス®はQ-maxが0.47もあり、確かなひんやり感を実感できます。

 

吸湿性に優れたレーヨンを組み合わせて開発された生地を使っているため、吸熱性はもちろん熱拡散性が高く、ひんやり感が持続します。

熱伝導性が高いので熱がこもらず、寝返りのたびにひんやりするので、朝まで快適に眠ることができます。

 

レーヨンには吸汗速乾性も備わっているので、汗をかいても蒸れにくいのも特徴の一つです。

敷きパッドの他、枕パッドも展開されているので一度お試しください。

 

冷感敷きパッド

 

アイスデラックス

アイスデラックスはポリエチレンとレーヨンを撚ってパイル地にした、接触冷感敷きパッドです。

パイル地が面で肌に触れるため、Q-max以上にひんやり感が感じやすくなっています。

 

タオルのようにソフトな肌当たりで吸水性もあるため、ひんやり感と爽やかさを両立しています。

冷たさが一般的な接触冷感に比べ3倍続く、持続冷感敷きパッドです。

 

アイスデラックス

 

また昭和西川のクールリブという冷感寝具もおすすめです。

詳しくは本当に冷たい昭和西川のクールリブひんやりパッドシーツをご覧ください。

 

天然繊維の接触冷感寝具とは

ただやはり化学繊維を使った接触冷感寝具は、いくら吸湿性を謳っていても、蒸れ感があるのが否めません。

天然繊維の中でも熱伝導性の高い素材に麻がありますが、麻は日本では昔から使われている夏用寝具として使われています。

 

麻(リネン、ラミー)

麻は化学繊維を使った接触冷感寝具にはない心地よさを持っており、快適な眠りを手に入れたい方にはおすすめできます。

寝具に使われる麻は主にリネンとラミーですが、これらの素材を使ったケットや敷きパッド、シーツを使ってみると良いでしょう。

 

麻は硬い肌触りというイメージがありますが、特にリネンは肌触りも柔らかく、お肌の弱い方も刺激が少なくて、お肌に優しい素材です。

独特のシャリ感があり、接触面積が少なくいため、肌にべとつかず、通気性にも優れていることから、蒸れ感なく快適にお使いいただけます。

 

麻を使った寝具としては敷きパッドのほか、シーツ、ガーゼケット、肌掛け布団などがあります。

詳しくは夏も快適に眠れる麻の寝具がおすすめをご覧ください。

 

綿(コットン)

寝具の素材としては最もポピュラーな綿は天然繊維の中では熱伝導性は高いですが、冷感度は低めです。

綿は麻よりも冷感度は低く、すごいひんやりするわけではありません。

 

ただ吸水性や吸湿性が高いので、肌触りがさらっとしていて、爽やかな使い心地です。

また綿にキシリトール加工をしてひんやり感を追加したり、PCMシートを使うなどして温度の上昇を防いだ冷感寝具も存在します。

 

綿を使用した寝具としては、敷きパッドやタオルケットなどがあります。

また布団カバーも綿を使用しているものが多いので、知らず知らずのうちに使っているかもしれませんね。

 

まとめ

夏用寝具として人気の接触冷感寝具ですが、必ずしも体の熱を冷ましてぐっすり寝られるわけではありません。

あくまで触れた瞬間にひんやりするだけの「接触冷感」であることを認識しておくことです。

 

ただ正しく使用すれば、夏の寝苦しさを軽減させることは十分に可能です。

接触冷感寝具の特徴を知り、正しい使い方をすることで夏の快眠を手に入れましょう。

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