江戸時代の布団とは
現代はいろんな素材を使った布団があり、実に快適に眠れるようになりました。
実際は睡眠の質が低下している人も多いようですが、寝具としての機能は昔に比べて大幅に良くなっています。
現代の布団のように進化したのはおよそ江戸時代の頃ではないかと思います。
昔の人はどんな布団で寝ていたのか気になるところですね。
身分によって違いはあるでしょうが、江戸時代の人がどんな布団で寝ているか探ってみましょう。
敷き布団は木綿布団
時代劇を見ると、身分の高い人は今と同じような、綿の入った四角い敷布団や掛け布団を使っているのを見かけます。
江戸時代には木綿が普及していたため、現在の布団の原型と考えられる、綿布に木綿わたを詰めた四角い敷布団が使われるようになっていたそうです。
現代の木綿布団よりも綿は少なく、庶民の敷き布団などはせんべい布団のように硬かったのではないかと思います。
また木綿わたの入った敷き布団が広まっていたとはいえ、農村部などはむしろやゴザで寝ていました。
掛け布団は夜着
では掛け布団はどうかというと、「夜着(よぎ)」といわれる木綿わたを詰めた着物を掛け布団として使用していました。
昼間に着ていたものを掛けて寝るのは昔から一般的であったようですが、江戸時代には寝るとき用の着物を掛けて寝ていたようです。
生地に絹を使用した豪華な夜着もありますが、一般庶民は藍染めの木綿や麻製のものを多く使っていたようです。
襟や袖がついているのでキャンプで使う寝袋や着る毛布みたいで暖かそうですね。
冬などは木綿わたをパンパンに入れて保温力を上げて寒さをしのいでいました。
逆に夏場は綿の量を減らし、サイズも小さめの「掻巻(かいまき)」と呼ばれる着物を掛け布団を使用していたようです。
四角い掛け布団は江戸時代後期
時代劇で見かけるような四角い掛け布団が登場するのは江戸時代後期だったようです。
このころの掛け布団は大布団といわれ、幅が175cmほどもあったそうです。
現代の掛け布団の幅は140~150cmほどですから、まさにダブルサイズの掛け布団を贅沢に使っていたわけです。
夜着も袖を伸ばせば幅が広かったわけですから、夜着を元に進化したため、このような幅広の掛け布団になったのかもしれません。
ただ大布団を使用しているのは上方などに多く、それ以外の地域では夜着を使っていました。
四角い綿入りの敷布団や掛け布団が庶民にも広まり始めたのは明治時代に入ってからだそうです。
全国となるとさらに遅く、昭和に入って、しかも戦後といいますから、実につい最近のことなんですね。
庶民は紙衾
とはいえ江戸時代は綿布団というと現代での高級車ぐらいの価値のある高級品、庶民はこのような掛け布団を使えるはずもありません。
そのため庶民は和紙に藁を詰めた「紙衾(かみふすま)」と呼ばれる和紙布団を使っていました。
和紙布団というとしょぼい印象を受けますが、軽いので持ち運びしやすく、丈夫で暖かいため、長らく愛されていたようです。
また農村部などでは和紙布団すら使えず、むしろや藁で寝ていたものと推測されます。
まとめ
このように江戸時代になると現代の布団の元になるような敷布団や掛け布団が登場してきています。
とはいえそのような布団が使われているのはごく一部であることがわかります。
現代の布団のような木綿わたが使われるようになったとはいえ、普及するには時間がかかったようです。
ちょうど布団の在り方が変遷する過渡期のような時代ではなかったのではないかと思います。