
高齢者が早起きな理由
お年寄りは早起きで、朝も早い時間から活動的な一方、夜は早く就寝するものとよく言われています。
これは単なる一般論ではなくて、科学的根拠の伴った現象なのをご存じでしたか。
それは加齢によって眠りが変化し、若い頃のようにぐっすり眠れなくなっていくからです。
高齢者は眠りが浅くなっていくのだということが研究から分かっています。
体内時計が早くなる?
人間の体には皆サーカディアンリズムという眠りと覚醒を司るリズムが備わっています。
体内時計という言いかたをすることもありますね。
簡単に言うと太陽が昇って明るくなると目が覚め、夜になって暗くなると眠くなるというものです。
このリズムが狂ってくると睡眠のリズムが崩れ、夜眠れなくなったり朝が来ても起きられないような睡眠障害を引き起こします。
高齢になると体内時計のリズムが若い頃に比べて早くなっていきます。
つまり、眠くなるタイミングが早くなり、それに伴って目が覚める時間も早くなるのです。
このため高齢者の方は朝方に目が覚めてももう一度眠ることができなくなります。
体はもう覚醒する準備を整えてしまっているからです。
こういった方は寝床に長く居てもストレスになるので、早い時間から起きて活動することが望ましいでしょう。
また睡眠のタイミングがずれていくのと同時に、眠りの質も変化していくのが分かっています。
高齢者の睡眠の特徴
睡眠の状態には2種類のものがあり、脳と体の両方が眠っているノンレム睡眠と脳は目覚めていても体は眠っているレム睡眠に分けられます。
レム睡眠の時は眠りが浅くなっており、ノンレム睡眠では深くなります。
しかし高齢者の場合ノンレム睡眠時でも脳に深い眠りが訪れず、ちょっとした物音や軽い尿意でも目が覚めて、その後入眠困難に陥ることがよくあります。
こうした反応は自然なものである反面、外因性のものである場合もあると問題視されています。
具体的には退職による生活リズムの変化や配偶者との死別による心理的ストレス、それに伴う独居開始によってメリハリを失った生活が、睡眠障害を発症するというものです。
更にアルツハイマー型認知症になるとこの傾向は加速し、極端に眠りが浅く1時間も継続して眠ることができなくなり、家族に負担を掛けるようになります。
このため対策として薬に頼るのではなく、毎日決まった時間に起床して朝日を浴びる、規則正しい生活をして決まった時間に食事や入浴を行うなどの方法が提案されています。
即効性のあるものではありませんが、長い期間続けることで体内時計の狂いを補正し質の良い眠りを取り戻しやすくなるとされています。